笑気麻酔
笑気麻酔とは

笑気は正式には亜酸化窒素(N2O)といい、吸入麻酔薬の一種です。鎮静作用と鎮痛作用をもっているので治療に併用するとリラックスすると共に痛みを感じにくくなります。酸素とともに鼻マスクをつけて吸入して頂きます。
笑気麻酔の特徴
- 笑気は弱い鎮静・睡眠作用と比較的強い鎮痛作用を持っていることが特徴です。
したがって、単独で全身麻酔を行うことはできません。 - 効果の発現と消失は極めて早い。
吸入させると速やかに効果を表し、中止すれば直ちに排泄されるという性質を持っています。
その為、吸入中止後数分でふらつきがなければ即時、帰宅可能となります。 - 呼吸器や循環器にほとんど影響を与えません。
肺や心臓に障害を持っている患者さんにも安全に使用できます。 - 肝臓に負担をかけません。
多くの薬剤は代謝に際して肝臓で分解され、その結果生じた分解産物の薬理作用についても注意が必要になりますが、笑気は体内でほとんど分解されません。
笑気麻酔をおすすめする方の
特徴

基本的には歩いて来院可能であればすべての症例に適応可能です。
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循環器疾患を有する患者さんは痛み(身体的ストレス)や不安(精神的ストレス)によって容易に血圧や心拍数が変動します。笑気の鎮静·鎮痛作用はこれらストレスを軽減させ、急激な血圧上昇や不整脈の発生を予防します。
さらに、笑気とともに高濃度酸素を投与しているため、心臓への酸素供給が不足している狭心症、心筋梗塞の既往がある患者さんなどのリスクを抑えることができます。
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歯科治療が大の苦手で、来院するのに「一大決心が必要」とおっしゃる方は少なくありません。このような患者さんは脳貧血(様)発作や過呼吸発作の予備軍です。
鎮静法によってリラックスさせて治療を行えば、これら全身的偶発症を予防することができます。
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脳貧血(様)発作(血管迷走神経反射)の原因は治療に伴う恐怖や痛みです。なかでも過去に本症の既往があると、再び同じ経験をするのではないかという不安が引き金となって、容易に脳貧血を発症します。
鎮静法は発症を予防し、脳貧血時に生じる脳への酸素供給の低下を改善します。
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嘔吐反射の多くは精神的なものが原因となっています。そこで笑気によって緊張感を取ると治療が可能になることも稀ではありません。
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保存処置や補綴治療は問題なく行える患者さんも、注射や手術の際には強いストレスを感じています。 積極的に鎮静法を応用することで、リラックスして治療を受けてもらうことができます。
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子供はより笑気を受け入れやすい傾向にあり、ほとんどの場合、不快感は訴えません。
初めから吸入を拒む場合には適応になりませんが、「楽に治療ができる」ことを理解してくれ、鼻呼吸が可能なお子さんには積極的に使用することをお勧めします。
高血圧症·不整脈·狭心症などの
循環器疾患を有する患者さん
治療に強い恐怖心を有する患者さん
脳貧血の既往がある患者さん
嘔吐反射を有する患者さん
局所麻酔や外科処置を予定している
患者さん
理解力のあるお子さん
よくある質問

全身麻酔とはどんな違いがありますか?
A.鎮静法は患者さんを「眠らせることなくリラックスさせる」方法です。従って笑気を吸入中の患者さんは呼びかけに答えることが可能です。反応を見ながら治療が行えるので、術者にとっても安心できる方法といえます。
静脈内鎮静法との違いは?
A.静脈内鎮静法では投与した鎮静薬を取り出すことはできませんが、笑気は呼吸によって吸入·排泄されるので効果の調節が容易です。また、呼吸や循環にほとんど影響を与えません。
笑気麻酔の流れ

- 血圧計、パルスオキシメーター、鼻マスクまたは専用鼻カニューレを装着します。
- 高濃度の酸素を吸ってもらい、問題なく吸えることが確認できると徐々に笑気ガスを混ぜて濃度をあげていきます。患者さんによって至適濃度が違うので様子を伺いながら効いてきたら治療を開始します。
- 治療が終わると、5分ほど高濃度の酸素を吸っていただき、麻酔が抜けたことを確認してからご帰宅となります。